奈良県 K樣 ザンバランフジヤマ 加水分解で剥がれたソールをオールソール交換修理しました
2026/07/21
ザンバラン(Zamberlan)の「フジヤマ」は、美しいレザーと高い堅牢性で長年多くの登山家に愛されてきた名作トレッキングシューズです。しかし、どれほど大切にしていても避けて通れないのが「ポリウレタンミッドソールの加水分解」によるソールの剥がれや崩壊です。
「思い出の詰まったフジヤマをまだ履き続けたい」 「メーカーでの修理受付が終わってしまった…」 「ソールがボロボロ崩れてきたけれど、直せるのだろうか?」
このようなお悩みをお持ちでしょうか?結論から申し上げますと、加水分解を起こしたザンバラン・フジヤマは、適切な下地処理と構造再構築を行えば、新車以上の安定性と耐久性を備えた状態で復活します。
今回は、奈良県にお住まいのK様よりご依頼いただいた「ザンバラン フジヤマ」のオールソール交換修理の実績をもとに、プロの靴修理職人の視点から、加水分解のメカニズムと当店で行うこだわりの再構築プロセスを詳しく解説します。
ザンバラン フジヤマで発生する「加水分解」の症状と原因
1. 加水分解とは?なぜ起こるのか
登山靴のミッドソール(靴底の中間層)には、優れたクッション性と軽量性を実現するためにポリウレタン(PU)という素材がよく使用されています。
ポリウレタンは歩行衝撃を吸収する優れた素材ですが、空気中の水分と反応して化学的に分解・劣化する「加水分解」という弱点を持っています。
ボロボロと黒い粉が落ちる
ソール全体が剥がれてパカパカになる
爪で押すと弾力がなく、簡単に崩れてしまう
こうした症状が現れたら、加水分解のサインです。保管状態にもよりますが、製造から約5年前後で進行することが多く、久しぶりに登山に出かけようと靴箱から出した際に発覚するケースが非常に多く見られます。
2. 山行中のソール剥がれは重大な事故につながる
加水分解の最も恐ろしい点は、「見た目は大丈夫そうに見えても、内側から崩壊が進んでいる」ことです。
自宅で問題がないように思えても、いざ山道を歩き始めて足重がかかると、突然ソール全体がベリッと剥がれてしまうことがあります。山中でのソール剥がれは行動不能や滑落事故に直結する非常に危険な状態です。
少しでもクッション層に亀裂が見られたり、指で触って脆さを感じたりした場合は、絶対にそのまま登山へ行かず、事前にオールソール交換(靴底全体の張り替え)を行う必要があります。
奈良県K様よりご依頼いただいた「ザンバラン フジヤマ」の修理内容
今回お預かりしたK様のフジヤマも、経年劣化によりミッドソールのポリウレタンが完全に加水分解し、手で簡単に崩れてしまう状態でした。
アッパー(革本体)はしっかりと手入れがされており、大変素晴らしいコンディションでしたので、ソール部分を基礎から新しく作り直すフルリカバリー(オールソール交換)を施工させていただきました。
修理概要
ご依頼主様:奈良県 K様(郵送修理にて承り)
対象ブランド・モデル:ザンバラン(Zamberlan) フジヤマ
主な症状:ミッドソールの加水分解、ソールの剥がれおよび崩壊
修理プラン:加水分解部の全面撤去 + 合成ゴムミッドソール縫い付け + EVAスポンジミッドソール製作 + Vibram1136アウトソール装着
プロの技術で蘇る!当店ならではの4ステップ再構築工程
加水分解したソールを直す際、単に新しい底材をボンドで貼り付けるだけでは、登山靴に求められる激しい環境下での耐久性を維持できません。当店では、靴の骨組みから見直し、長期にわたって安心して歩けるよう以下のステップで施工を行っています。
[ Step 1: 劣化ソールの完全除去 ] ↓ [ Step 2: 合成ゴムミッドソールの「出し縫い(縫い付け)」 ] ↓ [ Step 3: 高密度EVAスポンジによるクッション層の再構築 ] ↓ [ Step 4: ビブラム1136アウトソールの装着・整形 ]
【Step 1】加水分解したポリウレタンの完全除去
まずは、ボロボロになったポリウレタンのミッドソールと古いアウトソールを完全に削り落とします。
ここで少しでも古いポリウレタンが残っていると、新しく取り付けるソールがしっかりと接着せず、剥がれの原因になってしまいます。アッパーの革を傷つけないよう慎重に、かつ手作業と専用グラインダーを使って完全にクリーンな下地を作ります。
【Step 2】合成ゴム製ミッドソールの「縫い付け(出し縫い)」
加水分解しない耐久性の高い土台を作るため、強度の高い「合成ゴム製ミッドソール」を配置します。
そして、ここが職人のこだわりポイントです。単に接着するだけでなく、靴本体(ウエルト部分)と合成ゴムミッドソールを専用の出し縫い糸で強力に縫い合わせます。
万が一、将来的にボンドが劣化するようなことがあっても、縫い付けられているためソールが完全に脱落することはありません。ハードな登山環境でも耐え抜くための、妥協のない補強処理です。
【Step 3】高密度EVAスポンジミッドソールの製作
元のポリウレタン層が持っていた「クッション性」を取り戻すため、中間にEVAスポンジミッドソールを割り込ませます。
EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)は、軽量で弾力性に優れ、何年経っても加水分解を起こさない(水に強い)高機能素材です。
足裏への衝撃を和らげる適切な厚みと傾斜(ヒールバランス)を計算し、一足一足手作業で削り出してフィッティングを調整します。
【Step 4】定番の高品質ソール「Vibram1136」の装着
仕上げのアウトソールには、登山靴・ワークブーツの張り替え用として絶大な信頼を誇る「Vibram(ビブラム)1136」を採用しました。
■ Vibram1136の特徴
抜群のグリップ力:深いブロックパターンが、ガレ場や泥道、濡れた岩場でも強力にトラクションを発揮します。
優れた耐摩耗性:硬度と柔軟性のバランスが良く、長距離の歩行でも削れにくい高い耐久性を持ちます。
洗練されたシルエット:ヒール一体型のブロックパターンにより、サイドからの見た目も力強く美しく仕上がります。
最終段階では、靴全体のラインに合わせて側面を滑らかに削り揃え、アッパーのレザーに栄養クリームを補給して磨き上げます。
施工前後の比較:生まれ変わったザンバラン フジヤマ
項目修理前(ビフォー)修理後(アフター)
ミッドソールポリウレタンが加水分解し、ボロボロに崩れている状態加水分解しない「合成ゴム+EVAスポンジ」へ全変更
構造・強度接着が完全に浮き、脱落の危険性あり底縫い(出し縫い)施工により、脱落リスクをゼロに還元
アウトソール摩耗と経年変化で機能喪失Vibram1136装着で、強力なグリップと安定感が復活
今後の耐久性使用不可(危険な状態)今後、加水分解による突然の崩壊は起きません
元の堅牢な上質レザーと、最新の耐久性・クッション性を兼ね備えた新しいソールが融合し、これからも末永く山を共にするパートナーとして完璧に復活いたしました。
奈良県のK様のもとへ無事にお届けし、「これでまた安心して登山に出かけられます」と嬉しいお声をいただいております。
当店が選ばれる理由とこだわり
当工房「いずみ靴店」では、単に靴底を貼り替えるだけの作業ではなく、「その靴でどのような場所を歩くのか」を一番に考えて修理を行っています。
1. 「加水分解しない素材」への構造変更
メーカー修理の場合、再び同じポリウレタン素材でリペアされることが多く、数年後にまた加水分解を起こすリスクがあります。 当店では、ご希望に応じて「絶対に加水分解しないEVA+ゴム構造」へ仕様変更(カスタムオールソール)を行います。これにより、何年経過しても崩れることのない安心感をご提供します。
2. 確かな縫製技術と妥協のない仕上がり
登山靴は体重の数倍の負荷がかかるため、接着面への負担が非常に大きい靴です。当店では専用の靴修理用ミシン(ステッチャー)を備え、確実な底縫い・圧着工程を実施しています。見た目の美しさはもちろん、構造的な安全性を最優先に仕上げます。
3. 全国対応の「郵送修理システム」
「近所に信頼できる靴修理店がない」「登山靴の専門的な修理ができる店を探している」というお客様のために、全国どこからでも郵送での修理を承っております。 LINEやお問い合わせフォームからお写真を送信していただくだけで、事前にお見積りや修理内容のご提案が可能です。
登山靴の修理・ソール交換に関するよくある質問(FAQ)
Q. ザンバラン以外の登山靴ブランドでも修理できますか? A. はい、もちろんです。マムート(MAMMUT)、ローバー(LOWA)、ハンワグ(HANWAG)、シリオ(SIRIO)、スカルパ(SCARPA)、キャラバン(Caravan)など、国内外の様々な登山靴・トレッキングシューズの加水分解修理・オールソール交換に対応しております。
Q. ソール交換の費用と期間はどれくらいですか? A. 仕様や状態によって異なりますが、オールソール交換(ミッドソール再構築含む)の基本料金は 18000円〜22,000円前後(税別) となります。納期は通常 3週間〜1ヶ月程度 をいただいております。(シーズンにより変動いたしますので、登山のご予定がある場合はお早めにご相談ください。)
Q. アッパー(革部分)に傷や乾燥がある場合も手入れしてもらえますか? A. 当店ではソール交換作業の際、アッパーのコンディションに合わせてオイルアップや防水ケア等の簡易メンテナンスを施してお返ししております。愛用の靴をトータルで綺麗に整えます。
諦める前に、まずはご相談ください!全国からの郵送修理を承っております
「長年履き込んだ愛着のある登山靴」 「自分の足に完璧になじんだ最高の相棒」
ソールが壊れてしまったからといって、捨ててしまう必要はありません。アッパーの革が生きていれば、ソールを新品に作り直すことで、何度でも生まれ変わらせることができます。
いずみ靴店では、岡山県倉敷市の工房より、全国の登山を愛する皆様からのご相談をお待ちしております。
「この状態でも直せる?」「いくらくらいかかる?」といった素朴な疑問でも構いません。まずは靴のお写真を添えて、お気軽にお問い合わせください。
あなたの大切な一足が、再び素晴らしい山旅の相棒として復活できるよう、職人が一針一針、心を込めて修理いたします。
【店舗情報・お問い合わせ】
店舗名:いずみ靴店
所在地:岡山県倉敷市
対応エリア:全国対応(郵送修理承ります)
対応メニュー:登山靴・トレッキングシューズのオールソール交換、加水分解修理、かかと補修、破れ補修、各種カスタム
▼ お気軽にお問い合わせください LINE・メール・お電話にて無料見積もりを実施中です。靴の状態がわかるお写真を数枚お送りいただければ、最適な修理プランと正確なお見積りをご案内いたします。


