いずみ靴店

【修理の現場から】山梨県A様より託されたNIKEバスケットボールシューズ。千切れた「命綱」を、八方ミシンの技術で蘇らせる。

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【修理の現場から】山梨県A様より託されたNIKEバスケットボールシューズ。千切れた「命綱」を、八方ミシンの技術で蘇らせる。

【修理の現場から】山梨県A様より託されたNIKEバスケットボールシューズ。千切れた「命綱」を、八方ミシンの技術で蘇らせる。

2025/12/20

岡山県倉敷市に店を構える「いずみ靴店」です。日々、全国各地から「もう履けないかもしれない」と諦めかけた大切な一足が届きます。今回ご紹介するのは、遥か山梨県より配送にてご依頼いただいた、NIKE(ナイキ)のバスケットボールシューズの修理事例です。

バスケットボールという競技は、スポーツの中でも特にシューズへの負荷が激しいことで知られています。急停止(ストップ)、急な方向転換(ターン)、そして高く舞い上がるジャンプ。それらすべての動きを受け止めるシューズには、想像を絶するストレスがかかります。

今回、A様のシューズに起きたトラブルは、まさにその激しいプレーの最中に起きた「悲鳴」とも言えるものでした。

1. NIKE独自の「紐通し構造」とその落とし穴

現代のバスケットボールシューズ、特にNIKEのモデルには、軽量化とフィット感を両立させるための高度なテクノロジーが詰め込まれています。今回修理したモデルも、一般的な「革に穴を開けただけの靴紐通し」ではなく、非常に特殊な構造を採用していました。

■ 1本の紐が生み出す、究極のホールド感

このシューズの靴紐通しは、1本の強靭な硬い紐(コード)を、アッパー(靴本体)の表面に沿わせ、一定の間隔で縫い止めることで「輪っか(ループ)」を作り出しています。このループに靴紐を通すことで、紐を締めた際に足全体が均一に包み込まれるような、高いホールド感を実現しているのです。

■ 突如訪れる「破綻」の瞬間

しかし、この優れた構造には弱点もありました。ループを作っている「縫い付け部分の布地」に負荷が集中するのです。 バスケットボールの激しい動きの中で、靴紐が強く引っ張られるたびに、その土台となる布地には凄まじい力がかかります。長年の使用や、一瞬の過度な負荷によって、ついにその土台の布が破れてしまいました。

結果として、独立していた「輪っか」は、縫い目が弾けたことで元の「ただの1本の紐」に戻ってしまいました。これでは靴紐を通すことができず、シューズとしての機能を果たせません。アッパー自体はまだ綺麗で、ソールも残っている。それなのに、たった数センチの布の破れで「寿命」と言われてしまうのは、あまりにも惜しいことです。

2. いずみ靴店の診断:補強と再構築のプランニング

届いたシューズを手に取り、まずはじっくりと構造を観察します。 ただ紐を縫い付けるだけでは、またすぐに同じ場所から破れてしまいます。バスケットボールの負荷を甘く見てはいけません。

■ 患部への「当て布」による基礎工事

今回の修理の肝は、破れてしまった土台部分の強化です。 元の素材よりも強度の高い補強用の布地(あるいは薄く漉いた強靭な革)を選定し、破れた箇所を裏表から挟み込むようにして「当て布」を施します。これにより、靴紐を締め上げた時の力が一点に集中せず、広い面で分散されるようになります。

■ 輪っかの再形成

補強した土台の上に、元の紐を正確な位置で配置し直します。数ミリでも位置がずれると、紐を通した時の見た目のバランスが崩れるだけでなく、締め心地に違和感が出てしまいます。元の設計思想を尊重しつつ、以前よりも頑丈な状態を目指して再構築を行います。

3. 修理の主役「八方ミシン」:立体を縫う魔法

ここで、いずみ靴店が誇る特殊機材**「八方ミシン」**の登場です。

■ なぜ「八方」なのか?

一般的な家庭用ミシンや工業用ミシンは、布を前後にしか送ることができません。しかし、この八方ミシンは違います。その名の通り、縫う方向を360度、全方向に変えることができるのです。

■ 靴修理における「絶対的守護神」

靴というものは、非常に複雑な立体構造をしています。特にバスケットボールシューズのようなハイカットモデルや、つま先近くの狭い空間は、通常のミシンでは物理的に入ることができず、縫うことが不可能です。 八方ミシンは、細長い「腕(アーム)」の先端から針が出ており、靴の奥深くまで差し込んで縫うことができます。今回のアイレット修理のように、完成された靴の入り組んだ場所をピンポイントで縫う作業において、このミシン以上の適任者は存在しません。

カチッ、カチッという独特のリズムを刻みながら、職人が手回し、あるいは絶妙な踏み加減で、一針ずつ確実に補強布と紐を本体に縫い付けていきます。厚みのある素材を貫通し、しっかりと糸を締める力強さは、まさにプロの道具です。

いずみ靴店

お客様の靴に込められた思い出や愛着をしっかりと受け止めながら、心を込めて修理を行っております。一足一足に真心を込めた作業を通じて、思い出の詰まった大切な靴が持つ新たな一歩をお手伝いいたします。

いずみ靴店

〒713-8121
岡山県倉敷市玉島阿賀崎2丁目6−46

086-526-3398

※お電話のお問い合わせは10:30~15:30の間にご連絡をお願いいたします。
基本的にはお問い合わせフォームへご連絡をお願いいたします。

4. 完成、そして再びコートへ

丁寧に仕上げられた靴紐通しは、かつての輝きを取り戻しました。 補強された部分は、外見上は違和感なく馴染みながらも、内部には以前を上回る剛性を秘めています。

「これでまた、思いっきり履いていただけますね」

私たち職人が修理を終えて、最も喜びを感じる瞬間です。山梨県から送られてきたこの一足には、きっとA様のたくさんの思い出や、これからのプレーへの情熱が詰まっているはずです。その想いを断ち切ることなく、再びコートへ送り出せることは、靴修理店冥利に尽きます。

5. 「直して履く」という選択が、プレイヤーを強くする

昨今、スポーツの世界でもサステナビリティ(持続可能性)が問われています。しかし、私たちが提案したいのは単なる環境保護の観点だけではありません。

■ 馴染んだ感覚を失わないために

新しい靴に履き替えた時、足に馴染むまでの違和感に悩まされた経験はありませんか? プロ、アマを問わず、アスリートにとって「履き慣れた感覚」は非常に繊細なものです。特に自分の足に完璧にフィットしたバッシュは、替えの効かない武器となります。修理によってその感覚を維持できることは、パフォーマンスの安定にも繋がります。

■ 道具を愛する心

一つの道具を大切に使い、壊れたら直して使い続ける。その姿勢は、スポーツマンシップにも通じるものがあるといずみ靴店は信じています。大切に手入れされた道具は、いざという時に必ずプレイヤーを助けてくれるはずです。

6. 全国からのご相談をお待ちしております

岡山県倉敷市の「いずみ靴店」では、今回の山梨県のA様のように、遠方からの配送依頼を数多く承っております。

「NIKEのシューズだから、特殊な構造だから……」と諦める前に、ぜひ一度私たちにご相談ください。

靴紐通しの破れ

ソールの剥がれ、削れ

クッションの劣化

アッパーの裂け

これらのお悩みに、熟練の職人が「八方ミシン」をはじめとする確かな技術でお応えします。お電話やメール、SNSでのDMなど、どのような形でも構いません。あなたの「諦めきれない一足」を、私たちが全力で蘇らせます。

A様、この度は遠方より大切なシューズを託していただき、誠にありがとうございました。新しい紐を通した時の感触を、ぜひ再びコートで確かめてみてください。

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