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【ドクターマーチン修理】金属ファスナーの「エレメント欠け」を完全復元。千葉県Y様からのご依頼

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【ドクターマーチン修理】金属ファスナーの「エレメント欠け」を完全復元。千葉県Y様からのご依頼

【ドクターマーチン修理】金属ファスナーの「エレメント欠け」を完全復元。千葉県Y様からのご依頼

2026/03/22

ドクターマーチン(Dr. Martens)といえば、その堅牢なレザーと独自のエアクッションソール、そしてパンクやロックといったサブカルチャーのアイコンとして世界中で愛されているブーツです。

しかし、長年愛用しているとどうしても避けて通れないのが**「ファスナーのトラブル」**です。特に、脱ぎ履きをスムーズにするために取り付けられたサイドジップ仕様のモデルでは、過酷な使用環境や経年劣化によって、ファスナーが故障してしまうケースが多く見られます。

今回、千葉県のY様よりお預かりしたドクターマーチンも、ファスナーの「コマ(エレメント)」が欠損してしまい、開閉が困難な状態にありました。

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お客様の靴に込められた思い出や愛着をしっかりと受け止めながら、心を込めて修理を行っております。一足一足に真心を込めた作業を通じて、思い出の詰まった大切な靴が持つ新たな一歩をお手伝いいたします。

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〒713-8121
岡山県倉敷市玉島阿賀崎2丁目6−46

086-526-3398

※お電話のお問い合わせは10:30~15:30の間にご連絡をお願いいたします。
基本的にはお問い合わせフォームへご連絡をお願いいたします。

1. 故障状況の診断:なぜ「コマ飛び」が起きるのか?

お預かりしたブーツを確認したところ、ファスナーの中間部分で金属製の**エレメント(コマ)**が数箇所、物理的に脱落している「コマ飛び」の状態でした。

なぜエレメントは抜けてしまうのか?

金属ファスナーにおいて、エレメントが外れる主な原因は以下の3点です。

過度な負荷: ブーツを履く際、足の幅や甲の高さに対して無理に引き上げようとすると、横方向への強いテンションがかかり、エレメントを保持しているテープ(布地)が負けてしまいます。

屈曲による金属疲労: 足首の動きに合わせてファスナーも常に曲げ伸ばしされます。ドクターマーチンのような硬めのレザーの場合、特定の箇所に圧力が集中しやすく、金属疲労を起こして折れることがあります。

潤滑不足による摩擦: 金属同士の摩擦が強くなると、スライダー(引き手)を通す際に大きな力が必要になり、結果としてエレメントを削ったり引き抜いたりしてしまいます。

Y様のブーツは、レザー自体の状態は非常に良く、定期的にお手入れされていることが伺えました。だからこそ、この「ファスナーさえ直ればまだ何年も履ける」という状態でした。

2. 修理プランの策定:オリジナルパーツの「スラス(スライダー)」を活かす

今回の修理において、最も重要なポイントは**「オリジナルの風合いをどこまで残すか」**という点です。

通常、ファスナー交換では「ファスナーセット(テープ・エレメント・スライダー)」を丸ごと新品に交換します。しかし、ドクターマーチンの純正スライダー(スラス)には、ブランドロゴが刻印されていたり、独特のアンティーク感があったりします。

検品の結果、以下の判断を下しました。

スライダー(スラス): 摩耗が少なく、まだ十分に機能しているため、**「再利用(移植)」**を選択。

ファスナー本体: エレメント欠けがあるため、耐久性の高い日本製の高品質金属ファスナーへ**「全交換」**。

これにより、機能性は新品同様に回復させつつ、見た目のディテールはオリジナルの雰囲気を維持することが可能になります。

3. 熟練の技が光る「分解と下準備」

修理工程は、まず「壊れたファスナーを外す」ことから始まります。

ステップ①:ステッチの解体

ドクターマーチンは非常に太い糸で堅牢に縫製されています。元の針穴を傷めないよう、慎重にリッパーとナイフを用いて、古いファスナーを固定しているステッチを一本ずつ解いていきます。

ステップ②:銀面(革表面)のクリーニング

ファスナーを取り外すと、長年の埃や古い接着剤の跡が現れます。ここに新しいファスナーを貼る前に、専用のクリーナーで清掃を行い、接着強度を高めるための下地処理を施します。

4. 新しいファスナーの取り付けと「スラスの移植」

ここが今回の技術的なハイライトです。

スラスのクリーニングと移植

元のファスナーから抜き取った純正スライダーを、超音波洗浄等で微細な汚れを落とした後、新しい金属ファスナーのレールに装着します。この際、スライダーの内側に僅かな歪みがないか、スムーズに動くかをミリ単位で微調整します。

貼り込みと位置決め

新しいファスナーに専用の強力なボンドを塗布し、ブーツの断面に合わせて慎重に貼り合わせます。

ポイント: ファスナーが波打ってしまうと、見た目が悪いだけでなく、開閉時に噛み込みの原因になります。ピンと張った状態で、かつレザーの動きを妨げない絶妙なテンションで固定します。

 

5. 八方ミシンによる「元の針穴」への縫い付け

ドクターマーチンの修理において、最もこだわっているのが**「縫い」**です。

元の針穴をトレースする

新しく穴を開けてしまうと、レザーの強度が落ちる「ミシン目断裂」の原因になります。私たちは、厚物用の工業用ミシン(八方ミシン)を使い、職人が手回しに近い感覚で、元々開いていた針穴にピタリと針を落として縫い直します。

使用する糸も、ドクターマーチンのタフな印象に負けない、太番手のビニモ糸を使用。色はオリジナルのステッチに馴染む色を選定し、補修跡が目立たない美しい仕上がりを目指します。

6. 最終検品:スムーズな動作と耐久性の確認

縫製完了後、最終的な仕上げとチェックを行います。

1.スライドテスト: スラスが引っかかることなく、上から下まで滑らかに動くか、10回以上の往復テストを行います。

2.ストッパーの固定: ファスナーの最上部と最下部に、スライダーが抜けないよう「上止め・下止め」の金具を強固に取り付けます。

3.ワックス塗布: 金属エレメントに専用のファスナーワックスを薄く塗布し、初期の馴染みを良くします。

7. 完成:Y様の大切なドクターマーチンが蘇りました

千葉県Y様、大変お待たせいたしました。 金属ファスナーのコマ飛びにより、一時は履くことを諦めかけていたかもしれませんが、ご覧の通り、純正スラスの風合いを活かしたまま、新品時のようなスムーズな開閉が復活しました。

【ドクターマーチンを長持ちさせるアドバイス】

今回のようなファスナー故障を再発させないためのコツをお伝えします。

「座って脱ぎ履き」をする: 立ったまま無理に引き上げると、ファスナーに斜めの力がかかり、エレメントが外れやすくなります。

指を添えて引く: スライダーを引く際、ファスナーのレールを指で軽く寄せるようにして引くと、抵抗が激減します。

定期的なブラッシング: 金属の隙間に砂や埃が溜まると、研磨剤のようにエレメントを削ってしまいます。

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「ファスナーが壊れたから、もう履けない」と諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。 当店では、千葉県内はもちろん、全国からの配送修理を承っております。

【当店のドクターマーチン修理の強み】

純正パーツの移植技術: ブランドロゴ入りスライダーを再利用可能。

こだわりの再縫製: 元の針穴を活かし、革へのダメージを最小限に。

選べるファスナー: YKK製の最高級金属ファスナー(エクセラ等)へのアップグレードも対応。

ドクターマーチンのファスナー交換、ソール交換(リソール)、傷補修など、靴修理に関することなら何でもプロの職人にお任せください。

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