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広島県 T様:デュ・バリー(Dubarry)オールソール交換修理レポート

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広島県 T様:デュ・バリー(Dubarry)オールソール交換修理レポート

広島県 T様:デュ・バリー(Dubarry)オールソール交換修理レポート

2026/03/19

お気に入りの靴を長く履き続けたいという願いを叶えるのが、私たち靴職人の使命です。今回お預かりしたのは、アイルランドの名門ブランド、**デュ・バリー(Dubarry)**のブーツ。堅牢な作りと洗練されたデザインで知られる一足ですが、避けて通れないのが「経年劣化」の問題でした。

1. 修理前の状態:加水分解の脅威

今回、修理の最大の原因となったのは**「加水分解」です。 一見するとアウトソール(靴の底面)の合成ゴムはしっかりしているように見えましたが、その内側のミッドソール部分に使用されていたポリウレタン素材**が寿命を迎えていました。

加水分解とは? ポリウレタン素材が空気中の水分や湿気と反応し、化学分解を起こす現象です。ボロボロと崩れるように壊れてしまうため、接着剤での補修は不可能であり、オールソール(靴底全体の交換)が唯一の解決策となります。

2. 独自の修理アプローチ:構造の再構築

通常、デュ・バリーのような一体成型のソールを修理する場合、元のイメージを完全に再現するのは非常に困難です。また、アウトソール自体もミッドソールの崩壊に伴い再利用ができない状態でした。

そこで今回は、単なる「復元」ではなく、靴の寿命を延ばしつつデザイン性を高める**「構造のアップデート」**を提案させていただきました。

【革の縫い付けとステッチダウン風仕上げ】

まず、本体の側面に新たな革を丁寧に縫い付けました。その革を外側へと折り返し、新設するミッドソールに対して**「出し縫い(アウトステッチ)」を施すことで、まるでステッチダウン製法**のような力強くクラシックな外観へと生まれ変わらせました。

この手法により、以下のメリットが生まれます:

耐久性の向上: 接着だけでなく糸で物理的に固定するため、剥がれに強くなります。

デザインの刷新: 側面にステッチが見えることで、元のスポーティーな印象に重厚感とクラフトマンシップが加わります。

3. ソールの選定:Vibram #2303 の採用

アウトソールには、信頼のブランド・ヴィブラム社の**「Vibram #2303」**を採用しました。

デッキシューズ用ソールの機能性: もともとヨットマン向けのブーツとして誕生したデュ・バリーのルーツを尊重し、デッキシューズ用のソールを選択。優れたグリップ力と排水性を持ち、濡れた路面でも安定した歩行をサポートします。

ビジュアルの調和: 元のアウトソールが持っていた軽快なイメージに近く、ステッチダウン風に加工したコバ周りとも絶妙にマッチします。

4. 靴職人としての想い

「加水分解してしまったから、もう履けない」と諦めてしまう方は少なくありません。しかし、構造を理解し、適切な素材と技術を組み合わせれば、お気に入りの靴は何度でも蘇ります。

今回の修理では、T様が愛用されてきたブーツの歴史を尊重しつつ、これからの数年、数十年を共に歩める「タフな一足」へと昇華させることを意識しました。生まれ変わったデュ・バリーで、また新たな景色を楽しんでいただけることを願っております。

🛠 修理詳細まとめ

ブランド: デュ・バリー(Dubarry)

修理内容: オールソール交換(加水分解対策)

製法アレンジ: 側面革縫い付け + ステッチダウン風出し縫い加工

使用ソール: Vibram #2303(デッキシューズ用ソール)

ご依頼主様: 広島県 T様

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