大阪府のM様のフットジョイ・アイコンモデルをフルリニューアルしました
2026/01/16
1. はじめに:名作「フットジョイ・アイコン」が直面した課題
ゴルフシューズの世界において、FootJoy(フットジョイ)の「アイコン(ICON)」シリーズは、まさに「至高」と呼ぶにふさわしい存在です。その伝統的でクラシックなデザイン、厳選されたプレミアムレザー、そして履き込むほどに足に馴染む感覚は、多くのシリアスゴルファーを魅了してきました。
しかし、どんなに優れた名作であっても、時間の経過とともに避けられない問題があります。それが**「加水分解」**です。
今回お預かりしたM様のシューズも、ソール部分のウレタン素材が水分と反応し、ボロボロと崩れてしまう状態にありました。一見すると「寿命」と感じてしまうこの状態から、いかにして新たな命を吹き込み、さらには現代的な「スパイクレス・スタイル」へと進化させるか。職人としての腕が試されるプロジェクトが始まりました。
3. 素材の選定:加水分解にサヨナラを告げる「EVAスポンジ」
今回の修理の最大の目的は、「二度と加水分解させないこと」、そして**「歩行の快適性を向上させること」**です。
そこで私たちがミッドソール(中底と外底の間)に選んだ素材が、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)スポンジです。EVAには、以下のような優れた特性があります:
非加水分解性: ウレタンと異なり、水分によってボロボロになることがありません。
軽量性: ゴルフは1ラウンドで10km前後歩くスポーツ。軽さは疲労軽減に直結します。
クッション性: 着地時の衝撃を優しく吸収し、膝や腰への負担を和らげます。
このEVAスポンジを、職人が一足ずつシューズの形状に合わせて削り出し、最適な厚みと傾斜を設定しました。
4. 職人の技:マッケイ縫いによる強固な一体化
ソールを単にボンドで貼り付けるだけでは、ゴルフ特有の激しい捻転運動に耐えることはできません。そこで採用したのが、イタリアの伝統的な製法である**「マッケイ縫い」**です。
アッパー、中底、そして新しく作り上げたEVAミッドソールを、専用のミシンで直接縫い合わせます。これにより、以下のようなメリットが生まれます:
圧倒的な堅牢性: ソールが剥がれる心配がほとんどなくなります。
優れた屈曲性: 縫い付けることでソールが足の動きにしなやかに追従し、歩きやすさが格段に向上します。
スタイリッシュなコバ: 縫い目が見えることで、クラシックな革靴のような高級感が漂います。
6. 仕上げ:Vibram 419C スパイクレスソールの採用
そして、地面と接するアウトソールには、世界最高峰のソールメーカーである**Vibram(ヴィブラム)社の「419C」**を採用しました。
このソールは、以下の理由から今回のフルリニューアルに最適でした:
多方向へのグリップ力: 独自のパターンが芝をしっかりと噛み、スイング時の滑りを防ぎます。
オン・オフ両用: スパイクレス化することで、ゴルフ場への行き帰りや練習場、さらには街歩きでも違和感なく使用可能になります。
耐久性: 摩耗に強く、アスファルトの上を歩いても長持ちします。
伝統的なアイコンのルックスに、最新のVibramソールが融合。まさに**「クラシック×モダン」**な一足へと生まれ変わりました。

