いずみ靴店

佐賀県 K様 REDWING Beckmann 加水分解したハーフソールラバー交換

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佐賀県 K様 REDWING Beckmann 加水分解したハーフソールラバー交換

佐賀県 K様 REDWING Beckmann 加水分解したハーフソールラバー交換

2025/12/26

佐賀県にお住まいのK様、この度は大切な**RED WING(レッドウィング)Beckman(ベックマン)**の修理をご依頼いただき、誠にありがとうございました。岡山県倉敷市の「いずみ靴店」です。

レッドウィングの中でも、創業者の名を冠した「ベックマン」は特別な存在です。しかし、避けて通れないのが**「ハーフソールの加水分解」**という問題。今回、K様からお預かりした一足も、まさにその時期を迎えていました。

お預かりしたベックマンがどのように蘇ったのか、そしてなぜこの修理が必要なのか、職人のこだわりを込めて詳しく解説させていただきます。

1. ベックマンの宿命「加水分解」とは何か?

レッドウィングのベックマン(特に品番9011、9014、9013などの旧モデル)のハーフソールには、かつてウレタン素材が混紡されたラバーが使用されていました。この素材はクッション性やグリップ力に優れている反面、日本の高温多湿な気候下では、空気中の水分と反応して分解される**「加水分解」**という現象が起こりやすい特性があります。

初期症状: 表面がベタつき始める。

中期症状: 縁が欠けたり、ヒビが入ったりする。

末期症状: 歩くたびにボロボロと崩れ、ガムを踏んだように路面に付着する。

K様のベックマンも、まさにボロボロと崩れ始めている状態でした。この状態になると、見た目が損なわれるだけでなく、グリップ力が失われ、最悪の場合は大切なレザーミッドソールまで傷めてしまうことになります。

2. 永年愛用するための選択:Vibram 2333への交換

今回、修理に使用したのは世界的なソールメーカーであるビブラム社の**「Vibram 2333」**ハーフソールです。

なぜVibram 2333なのか?

最大のメリットは**「合成ゴム素材」**であることです。ウレタンを含まないため、今回の原因となった加水分解が起こりません。一度この仕様に交換してしまえば、今後十数年経っても「ソールがボロボロと崩れる」という心配から解放されます。

また、デザイン面でもベックマンとの相性は抜群です。適度なボリューム感と武骨なパターンは、ベックマン本来の「クラシック・ドレス」な雰囲気を崩さず、むしろワークブーツらしい力強さを引き立ててくれます。

3. 職人の手仕事:修理工程の詳細

いずみ靴店では、単に「貼って終わり」の修理はいたしません。靴の寿命を最大限に延ばすための工程を積み重ねます。

① 下処理と糸の除去

まずは劣化して粘り気の出た古いラバーを丁寧に剥がします。その後、レザーミッドソールに残った古い接着剤やウレタンの残骸を、素材を傷めないよう慎重に削り落とします。 ここで重要なのが、**「古い縫い糸の除去」**です。ベックマンのハーフソールは「出し縫い(アウトソールステッチ)」によってミッドソールと縫い付けられています。この古い糸を一つひとつ手作業で抜き取ります。

② Vibram 2333の接着

下処理が完了したフラットな状態のミッドソールに、強力なプライマー(下地剤)とボンドを塗布。熱活性を与えてからVibram 2333を寸分の狂いなく圧着します。

③ 魂を込める「出し縫い」の再構築

ここが最も技術を要する工程です。新しいソールを貼り付けた後、専用の出し縫い機(アウトソールステッチャー)を使用して縫い付けます。

いずみ靴店のこだわりは、**「元の針穴を拾う」**こと。 通常の修理では、機械で勢いよく縫うと新しい穴が開いてしまい、ウェルト(靴の縁の革)がミシン目状に弱くなってしまいます(これを「切手化」と呼び、ウェルトの寿命を縮めます)。 私たちは、一目一目、元の穴の位置を確認しながら丁寧に針を落とします。これにより、靴へのダメージを最小限に抑えつつ、新品時と同等、あるいはそれ以上の強度を持たせることができるのです。

4. 完成:これからのベックマンとの歩み

両足の縫い付けが完了し、コバ(靴の側面)をベックマン特有の質感に合わせて整え、磨きをかければ完成です。

仕上がった靴は、Vibram 2333の深い溝が地面をしっかりと捉え、以前よりも頼もしい足元になりました。合成ゴム特有の適度な硬さと反発力は、長時間の歩行でも疲れにくく、レッドウィング本来の「履き込む楽しさ」を再確認させてくれるはずです。

K様、これで「いつ崩れるかわからない」という不安はもうありません。加水分解の心配がなくなったこのベックマンは、これから10年、20年とK様の足元を支え続け、さらに深いエイジング(経年変化)を見せてくれることでしょう。

5. 店舗情報とメッセージ

倉敷市の「いずみ靴店」では、遠方からのご依頼も大切にお預かりしております。 佐賀県のK様のように、「近くに信頼できる修理店がない」「大切な靴だからこだわって直したい」というお客様の想いに応えるため、日々技術を磨いております。

あなたの下駄箱に、ソールがボロボロになって眠っているレッドウィングはありませんか? それは「寿命」ではなく、単なる「素材の寿命」です。適切な処置を施せば、靴は何度でも生き返ります。

「一生モノを、本当に一生モノにするために。」

これからも一足一足、誠心誠意向き合ってまいります。 K様、この度は誠にありがとうございました。またのお越しを心よりお待ちしております。

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