いずみ靴店

東京都 Y様 NewBalance576 加水分解してぼろぼろになってカスカスになったシュータンのスポンジ交換

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東京都 Y様 NewBalance576 加水分解してぼろぼろになってカスカスになったシュータンのスポンジ交換

東京都 Y様 NewBalance576 加水分解してぼろぼろになってカスカスになったシュータンのスポンジ交換

2026/01/09

東京都のY様、この度は大切なNew Balance 576の修理をご依頼いただき、誠にありがとうございました。

スニーカーファンにとって、NB576は単なる靴ではなく、共に歩んできた歴史そのものと言っても過言ではありません。しかし、避けて通れないのが「加水分解」という悩みです。今回は、特に劣化が目立ちやすいシュータン(ベロ)のスポンジ交換について、その工程と職人のこだわりを詳しく解説いたします。

1. はじめに:名作「New Balance 576」を襲う加水分解の悲劇

ニューバランスの数あるラインナップの中でも、1988年に登場して以来、不朽の名作として愛され続けている「576」。オフロード用として開発されたその重厚なフォルムと、足を包み込むようなホールド感は唯一無二のものです。

しかし、長年愛用していると、どうしても抗えないのがポリウレタン素材の加水分解です。ソールが崩れるのは有名ですが、実は「シュータン」の内側にもスポンジが使われており、ここも年月とともに劣化が進みます。

今回お預かりしたY様の576も、外見は美しいレザーの状態を保っていましたが、シュータンを触ると「カサカサ」「ボロボロ」とした感触があり、中から濃いベージュ色の粉が溢れ出している状態でした。これでは靴下を汚すだけでなく、本来のフィット感も損なわれてしまいます。

2. 徹底解説:シュータン・リフレッシュの工程

いずみ靴店では、単にスポンジを詰めるだけではなく、**「新品時の立ち上がりと、それ以上の耐久性」**を目指して作業を行います。

① 靴本体からの取り外し(解体)

まずは、靴本体とシュータンを繋いでいるステッチを慎重に解きます。スニーカーの構造上、ここを解かないと隅々まで綺麗に洗浄・交換ができないためです。生地を傷めないよう、一針ずつ手作業で糸を切っていきます。

② 加水分解したスポンジカスの除去(クリーニング)

シュータンを「開き」の状態にしたら、中にある劣化したスポンジを取り除きます。加水分解したポリウレタンは、ベタつきを伴う砂のような状態(濃いベージュの粉)になっています。 これが少しでも残っていると、新しいスポンジを接着する際の妨げになり、また数年後に悪臭や汚れの原因となります。専用のブラシとクリーナーを使い、内側の生地を傷めない限界まで、徹底的に「カスカス」のカスを掻き出します。

③ EVAスポンジへの入れ替え(素材の選定)

ここが修理の肝となります。元々使われていたポリウレタンの代わりに、当店では**「EVA(エチレン・ビニル・アセテート)スポンジ」**を採用しています。

なぜEVAなのか? EVAは、軽量で弾力性に優れているだけでなく、**「加水分解しにくい」**という最大の特徴があります。一度交換すれば、元のポリウレタンのように数年でボロボロになる心配がほとんどありません。

厚みの調整 576らしい、あの「フワフワ感」を再現するため、適切な厚みのEVAシートを選別。薄すぎれば自立せず、厚すぎれば足の甲を圧迫してしまいます。Y様の個体に合わせて、最適なボリューム感にカットしました。

④ 側面縫い合わせと成形

新しいEVAスポンジを芯材として挟み込み、シュータンの側面を再び縫い合わせます。元の針穴をトレースするように慎重に縫い進めることで、修理跡を目立たせない仕上がりを目指します。

⑤ 八方ミシンによる本体への再設置

最後に、完成したシュータンを靴本体に縫い付けます。ここで活躍するのが**「八方ミシン」**です。 八方ミシンは、その名の通り360度どの方向にも縫い進めることができる特殊なミシンで、靴のような立体的な構造物を縫うのに欠かせません。狭い靴の内部まで針を通し、元の位置へ完璧に戻します。

3. 修理完了:蘇った「立ちベロ」の勇姿

修理が完了したNew Balance 576は、まるで息を吹き返したかのような姿になりました。

自立するシュータン: スポンジが詰まったことで、クタっとしていたベロがシャキッと自立。

快適な足当たり: EVAの弾力により、紐を締めた時の甲へのクッション性が劇的に向上しました。

清潔感: もう靴の中にベージュの粉が溜まることはありません。

これでまた、東京都の街を颯爽と歩いていただける準備が整いました。

いずみ靴店

お客様の靴に込められた思い出や愛着をしっかりと受け止めながら、心を込めて修理を行っております。一足一足に真心を込めた作業を通じて、思い出の詰まった大切な靴が持つ新たな一歩をお手伝いいたします。

いずみ靴店

〒713-8121
岡山県倉敷市玉島阿賀崎2丁目6−46

086-526-3398

※お電話のお問い合わせは10:30~15:30の間にご連絡をお願いいたします。
基本的にはお問い合わせフォームへご連絡をお願いいたします。

4. 職人よりメッセージ

「お気に入りの靴だけど、中から粉が出てくるからもう寿命かな…」と諦めてしまう前に、ぜひ一度ご相談ください。 スニーカーの加水分解は、適切な素材への置き換え(コンバート)によって解決できます。特に576のような良い靴は、アッパーのレザーが馴染んできた頃が一番かっこいいものです。その「味」を活かしつつ、内部だけを最新のタフな素材に変える。それが私たちの提案するサステナブルな靴との付き合い方です。

倉敷の地から、全国の靴好きの皆様の大切な一足を支えてまいります。

ハッシュタグ

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次の一歩として、他のお手持ちの靴で「ソールのベタつき」や「内側の劣化」が気になるものはございませんか? もしよろしければ、お写真をお送りいただければ、概算の見積もりや修理可否を診断させていただきます。

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