いずみ靴店

東京都 H様 dubarry Boots 加水分解によりオールソール交換修理

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東京都 H様 dubarry Boots 加水分解によりオールソール交換修理

東京都 H様 dubarry Boots 加水分解によりオールソール交換修理

2026/01/01

東京都のH様、この度は大切な**dubarry(デュバリー)**のブーツの修理を、岡山県倉敷市の「いずみ靴店」にお任せいただき、誠にありがとうございました。

アイルランドの豊かな自然の中で育まれたデュバリーのブーツは、その機能性と堅牢さから、一生モノとして愛用される方も多い名品です。しかし、どれほど優れたブーツであっても、避けては通れないのが「加水分解」という経年変化の壁です。

今回、H様からお預かりした一足が、どのような工程を経て、再びタフに歩める一足へと生まれ変わったのか。その全工程を詳細に解説いたします。

1. 診断:デュバリーを襲った「加水分解」の脅威

お預かりした際、ブーツは深刻な状態にありました。ミッドソール部分に使用されている**ポリウレタン(PU)**が、空気中の水分と反応して化学分解を起こす「加水分解」により、ボロボロと崩れ始めていたのです。

加水分解とは何か?

ポリウレタンは軽量でクッション性に優れる反面、製造から一定期間が経過すると、使用頻度に関わらず内部から崩壊が始まります。

剥離: ソールがパカパカと浮き上がってしまう。

ベタつき: 劣化した樹脂が溶け出し、粘り気を帯びる。

粉砕: 歩くたびに黒い粉となって崩れ落ちる。

デュバリーのブーツは、アッパーとソールが一体化するように成型されているモデルが多く、アウトソールがまだ残っていても、中間のミッドソールがダメになると履くことができなくなります。H様のブーツも、アウトソールの摩耗に加えてこの加水分解が進行しており、**「オールソール交換(靴底全体の交換)」**が必要不可欠な状態でした。

2. 難所:側面ポリウレタンの「跡形」をどう隠すか

デュバリーの修理において最も技術を要するのが、**「サイドの見た目」**の処理です。

一般的な靴と異なり、デュバリーのミッドソールはアッパー(革の部分)の側面まで幅広くせり出すように貼り付けられています。この劣化したポリウレタンを剥がすと、その下からは加工されていない「革の素地」や「接着の跡形」が広範囲にむき出しになってしまいます。

単に新しいソールを底に貼るだけでは、この側面部分のダメージが隠しきれず、見た目が非常に損なわれてしまいます。

解決策としての「本革・オパンケ縫い」

そこで今回、いずみ靴店が提案・実施したのは、本革をサイドに巻き付け、直接縫い付ける「オパンケ縫い」という技法です。

下地処理: 劣化したポリウレタンを完全に除去し、アッパーを丁寧にクリーニングします。

革の選定: デュバリーの風合いに馴染む上質な本革を選びます。

オパンケ縫い: アッパーの側面に沿って革を配置し、職人の手で一針ずつ、本体の革と新しい革を縫い合わせていきます。

これにより、加水分解の跡形を完璧にカバーするだけでなく、既製品にはない高級感と、手仕事ならではの温かみが宿ります。

いずみ靴店

お客様の靴に込められた思い出や愛着をしっかりと受け止めながら、心を込めて修理を行っております。一足一足に真心を込めた作業を通じて、思い出の詰まった大切な靴が持つ新たな一歩をお手伝いいたします。

いずみ靴店

〒713-8121
岡山県倉敷市玉島阿賀崎2丁目6−46

086-526-3398

※お電話のお問い合わせは10:30~15:30の間にご連絡をお願いいたします。
基本的にはお問い合わせフォームへご連絡をお願いいたします。

3. 構築:新しい命を吹き込む積層構造

土台が整ったところで、次は新しいソールの構築に入ります。今回は「街歩きからアウトドアまで耐えうるタフさ」をコンセプトに、以下の素材を選択しました。

① EVAスポンジ・ミッドソールの採用

加水分解の心配があるポリウレタンではなく、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)スポンジをミッドソールに使用しました。

耐久性: 加水分解を起こさないため、長期保管でも安心です。

軽量性: 見た目の重厚感に反して非常に軽く、足への負担を軽減します。

クッション性: 衝撃を吸収し、長時間の歩行をサポートします。

② マッケイ縫いによる強固な固定

このミッドソールを、**「マッケイ縫い」**によって本体とダイレクトに縫い合わせました。 接着剤だけに頼らないこの製法は、ソールが剥がれるリスクを最小限に抑え、靴全体の屈曲性(曲がりやすさ)も保つことができます。

4. 仕上げ:王道の「Vibram 1136」で圧倒的なグリップを

最後に取り付けるアウトソールには、世界中の靴愛好家から信頼される**Vibram(ビブラム)社製の「1136ソール」**を選びました。

デザイン: 「ロッチャ」と呼ばれる山岳地帯向けの意匠を持ち、武骨で力強い印象を与えます。

グリップ力: 濡れた路面や悪路でも滑りにくく、デュバリー本来の「フィールドブーツ」としての機能を最大限に引き出します。

耐摩耗性: 非常に丈夫なラバー素材で、長期間の使用でも削れにくいのが特徴です。

5. 完成:新生デュバリー・ブーツの誕生

修理が完了したブーツは、元のスマートな印象を残しつつも、どこかカスタムカーのような**「タフでごつい」魅力**を放つ一足に仕上がりました。

側面を本革で補強し、Vibram 1136で武装したその姿は、まさに一生モノ。 加水分解の不安から解放され、これからは雨の日も、キャンプなどのアウトドアシーンでも、気兼ねなくガシガシと履き込んでいただけます。

職人からのメッセージ

H様、この度は遠方より修理のご依頼をいただき、誠にありがとうございました。 デュバリーのような良い靴は、直すことで新品時よりも「自分の足とライフスタイルに馴染んだ道具」へと進化します。倉敷の地から、H様のこれからの歩みがより力強いものになるよう願っております。

もし今後、履き口の補修やメンテナンスなどで気になることがございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

#いずみ靴店 修理データ

ご依頼主: 東京都 H様

ブランド: dubarry(デュバリー)

修理内容: オールソール交換、加水分解対応

使用素材: Vibram 1136、EVAミッドソール、サイド本革補強

製法: オパンケ縫い + マッケイ縫い

所在地: 岡山県倉敷市

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